昔はこういう話、よく聞きませんでしたか?
「出国してしばらくしてから、現地のタクシーをクレカ払いすると、
その日から90日間、海外旅行保険がスタートする“裏技”があるらしいよ!」
このテクをうまく使えば、
- 出国直後は別の保険やカードに任せておいて
- 途中の好きなタイミングから、クレカ付帯保険の90日をスタート
みたいなことができる、という時代がたしかにありました。
ところが今は状況が大きく変わり、
- 多くのカードで、この「延長裏技」が事実上使えない仕様に整理されている
- 現時点で、まだ“それっぽい動き”ができそうなのはエポス系(+JQ CARD エポス)くらい
という、かなりシビアな状態になっています。
今回は、他社カードも含めた「対応状況のざっくり整理」と、「なぜ今はほぼエポスだけなのか」 にフォーカスしてまとめていきます。
モグラ先生:
長期滞在勢の間で有名だった「タクシー払い延長テク」が、
どうやって消えていったのか……その流れを整理してみようね 🐾
1. 「延長裏技」って、具体的にどういうものだったの?
まず、昔よく語られていた“裏技”を整理しておきましょう。
利用付帯カードの基本
海外旅行保険付きクレカには、だいたいこの2タイプがあります。
- 自動付帯:
持っているだけ+一定条件を満たす海外旅行に出ると、自動で保険がON。 - 利用付帯:
航空券・ツアー代・電車・バス・タクシーなどの料金をカードで払ったときに保険がON。
このうち、延長テクの対象になっていたのは利用付帯タイプです。
よくあったルールのパターン
昔のルールでは、こんな書き方が多く見られました(ざっくりイメージ):
- 出国前に 旅行代金をカード払いした場合
→ 出国から最大90日間有効 - 出国後に 公共交通機関(飛行機・電車・バス・タクシーなど)を
そのカードで初めて払った日から
→ そこから最大90日間有効
ここから生まれたのが、
「出国後しばらくたってから、現地タクシーをそのカードで初めて払うと、
その日を起点に90日スタートできる」
というテクニックです。
モグラ先生:
簡単に言うと、
「保険のスタートを“出国日”じゃなくて、“現地でカード切った日”に遅らせる」
という発想だね。
うまく使えば、出国から90日以上の滞在をカード保険でかなりカバーできた時代があったんだよ ⛏️小さな穴掘りポイント 🕳️
- この話は 利用付帯カード限定 の話です。
- 自動付帯カードは「出国したら自動でON」なので、
スタートを後ろにずらす余地はほぼありません。
2. 今、多くのカードで何が起きているのか
ここ数年で、クレカ各社は海外旅行保険まわりのルールをかなり整理・締め直しました。
大きく分けると、次の2パターンが増えています。
パターンA:出国後ONそのものをやめる/出国前決済必須へ
代表例:三井住友カード系の一部(リクルートカードなどを含む流れ)
- 昔は:
「出国後に公共交通機関をカード払いしてもONできる」と読める仕様 - 今は:
- 「出国前に航空券などを払ったときのみ有効」
- 出国後のタクシー払いなどでは発動しない
という方向に整理されているケースが多い
つまり、
そもそも「現地タクシー払いでON」ができない → 裏技は不可能
という状態です。
パターンB:「出国日から◯日まで」の上限を明文化
もう1つのパターンは、
- 出国後の公共交通機関払いでONする仕様自体は残す
- しかし同時に、「日本出国日から数えて◯日(90日 or 3か月)まで」という上限を約款にきっちり書く
というやり方です。
たとえば、こんな感じの文言です(イメージ):
- 「1回の旅行について、日本を出発した日の翌日から90日間を限度とします」
- 「日本出国日から3か月後の午後12時までを限度とします」
この場合、
- 出国後に公共交通機関をカード払いすると
→ その日から保険は有効になるが - どのみち “日本出国日から◯日”を超えたところまで伸ばすのは不可能
なので、
「途中からONできても、延長にはならない」
という仕様になります。
モグラ先生:
ざっくりいうと、
- パターンA:「現地タクシーON自体を禁止」
- パターンB:「現地タクシーONはOKだけど、出国日からの上限で頭を押さえる」
という2つの方向で、延長テクをつぶしにきたイメージだね 🐾小さな穴掘りポイント 🕳️
- 「出国後でも保険適用OK!」という宣伝だけだと不十分です。
- 必ず
「いつまで有効か」=「出国日から◯日なのか」「利用日から◯日なのか」
までセットでチェックしましょう。
3. 主なカード会社・提携カードの「今の傾向」
ここからは、ざっくりとカードグループごとの“今の空気感”をまとめます。
(細かい条件はカードごとに違うので、必ず自分のカードの公式情報で最終確認してください)
3-1. 三井住友カード系(VISA・リクルートカードなど)
- 傾向:
- 出国前に旅行代金を払うことがほぼ前提
- 出国後の公共交通機関払いでONできる余地は、昔よりかなり狭い/消えている
- 補償期間は
「日本出国日の翌日から起算して90日」
といった書き方が主流
→ 「現地タクシー払いでスタートを遅らせる」前提では、ほぼ使えないと考えた方が安全です。
3-2. JACCS・VJA・地方銀行系カード
- 傾向:
- 出国後に公共交通機関払いでONできるカードもまだある
- ただし多くが、
「日本出国日から3か月後の24時まで」
などの上限をはっきり明記 - 地方銀行や信用金庫のカードは、
親であるJACCSやVJAの約款をそのまま使っているだけなことが多い
→ 「延長裏技」という意味では、
ONのきっかけを出国後にできても、 出国日から3か月を超える延長にはならない
という位置付けになっています。
3-3. JCB/セゾン/楽天/アメックス/ダイナースなど
- 傾向:
- かつては「出国後ON+利用日から90日」のような読め方をする時期もあったが
- 現在は、
- 「日本出国日の翌日から90日」
- 「日本出国日から3か月後まで」
といった 出国日基準の上限 を明文化しているものが多い
- 一部カードで「出国後ON」自体をやめる流れも
→ グループとして見れば「延長テクに好都合な仕様」はほぼ残っていないと考えてよさそうです。
3-4. 提携カード:地方銀行/ホテル系/JRキューポなど
- 例:
- 地方銀行系VISAカード
- ホテルや百貨店の提携カード
- JRキューポ系の一部カード(JQ CARD セゾン/JQ CARD GOLD(MUFG)など)
- 傾向:
- 「どの会社が発行しているか」がほぼすべて
- 旅行保険の中身は、発行会社(例:三井住友・JACCS・MUFG・セゾンなど)のルールに従う
- JRキューポであっても、
- セゾン発行 → セゾンのルール
- MUFG発行 → MUFGのルール
といった形で、親会社の仕様にそのまま乗っかっているだけ
→ つまり、
「ご当地カードだから、どこかに延長裏技専用の激レア仕様が隠れている」 …という期待は、かなり薄い
というのが現状です。
モグラ先生:
カードのブランド名や見た目に惑わされず、
「誰が発行しているか」と「どの保険会社が引き受けているか」を見ようね。
ほとんどの場合、そこがルールの“本体”だよ 🐾小さな穴掘りポイント 🕳️
- 「○○カードは裏技OK」と書いてあるブログでも、
記事が何年前のものか/今の約款と合っているかを必ず確認しましょう。- 「古い裏技情報」と「今の公式ルール」が食い違っているケースがかなり多いのが現状です。
4. それでもまだ動ける「エポス系」という例外
ここまで読むと、
「じゃあ、もう全部ダメなの?」
と思いたくなりますが、
現時点で“まだ動けそう”とされているのがエポス系です。
エポス系に含まれるカードの例
- エポスカード(一般)
- エポスゴールドカード
- エポスプラチナ
- JQ CARD エポス
- JQ CARD エポスゴールド
…など、「エポス発行」のクレカ群
エポス系の特徴的なポイント(ざっくり)
エポスの海外旅行保険の説明を要約すると、だいたいこういうイメージです:
- 出国前に 旅行代金(航空券など)をエポスで払った場合
→ 出国日(または翌日)から 最大90日 - 出国後に 旅行料金(公共交通機関など)を 初めてエポスで払った場合
→ その支払日から最大90日(1旅行につき最長90日)
ここで重要なのは、
- 他社でよく見られる
「日本出国日から3か月後までを限度」
のような、出国日基準の上限が前面に出てこない点です。
この書き方のため、実務的には、
- 出国後しばらくエポスを使わず
- ある日、初めて現地のタクシーなどをエポス払いすると
- その日から90日間、エポスの保険が有効
という運用が今も可能だと解釈され、実際にそう案内されているケースがある、という状態になっています。
モグラ先生:
他のカードは
「出国日から90日まで」という上限がガチっと書かれてるのに、
エポス系は
「エポスで旅行料金を払った日から90日」
という説明が前面に出てるのが特徴なんだ。
だからこそ、「途中からON」という使い方の余地がまだ残っていると言われているよ 🐾小さな穴掘りポイント 🕳️
- JQ CARD エポス/JQ CARD エポスゴールドも、
中身の保険はエポス系と同じグループとして扱われます。- ただし、最終的な解釈は必ず保険会社に直接確認してください。
「○月○日に出国して、○月○日に初めて現地タクシーを払った場合、そこから90日で合っていますか?」
という聞き方がおすすめです。
5. 「裏技前提」はそろそろやめて、ルールをちゃんと見るフェーズへ
ここまでの話をまとめると、今の状況はだいたいこうです:
- 昔:
- 出国後の公共交通機関払いでONできるカードがいくつもあり
- 条件次第では「利用日から90日」という解釈がしやすかった
→ 結果として、延長テクが現実的に使えた時代があった - 今:
- 多くのカードで
- 「出国後ONそのものを禁止」
- 「出国日から◯日まで」の上限を明文化
のどちらかが進み、
- 利用日から90日だけでなく、「出国日からの上限」が強く効くようになった
- 例外:
- エポス系(+JQ CARD エポス)くらいが、 まだ「利用日から90日」の色が濃いルールを保っている
そして、この先について正直に言うと、
エポス系がいつ同じように「出国日から◯日」を明文化してもおかしくない
というのが冷静な見立てです。
モグラ先生:
だからこそ今は、
「裏技が使えるカードを探す」より、 「自分のカードの最新ルールをちゃんと読む」 フェーズに来ていると思うよ。
特に、
- 出国前決済が必須か
- 出国後ONはできるか
- いつまで有効か(出国日基準なのか、利用日基準なのか)
は最低限チェックしておこうね 🐾小さな穴掘りポイント 🕳️
- 古いブログやSNSの「裏技解説」は、今の約款とズレている可能性が高いです。
- 必ず、
- カード会社公式サイトの最新ガイド/保険のしおり
- 必要に応じて保険会社への問い合わせ
をセットで確認してから、自分のプランを考えましょう。
6. さいごに:今は「ほぼエポス一択+常に改定リスクあり」という前提で
この記事で伝えたかったのは、ざっくり言うとこの2点です。
- クレカ海外旅行保険の「延長裏技」は、ほとんどのカードで事実上終了している
- 出国後ON禁止
- 出国日から◯日までの上限明文化
という流れで、昔のような“伸び代”はほぼ残っていない
- 現時点で、それに近い動きができそうなのはエポス系(+JQ CARD エポス)くらい
- 「初めて旅行料金を払った日から90日」という説明が前面に出ている
- 出国日基準の上限が他社ほど明確に書かれていない
→ とはいえ、これも将来の改定で変わる可能性は十分ある
モグラ先生:
タイトルの
「クレカの海外旅行保険延長裏技終了秒読みのお知らせ」
っていうニュアンスは、今の状況にかなり近いと思うよ。
いまは 「ほぼエポス一択」+「それもいつ変わるか分からない」 くらいの気持ちで、
自分のカードのルールをこまめにチェックしていこうね 🐾
もし、
- 手元のカード名(例:○○カード、JQ CARD ○○など)
- そのカードの「海外旅行保険の説明ページURL」
が分かるなら、それを並べて、
「このカードは出国後ONできる?」「出国日から◯日の上限ある?」
という観点で、一緒に読み解いていくこともできます。
「このカードどう読めばいい?」というのがあれば、また聞いてください ⛏️

